「少しだけ、無理をして生きる」著者:城山 三郎

先日のTV東京系「カンブリア宮殿」の放送で”グンゼ”の特集をみましたが、驚いたのは老舗の肌着メーカーとして知られるグンゼが、実は肌着以外の分野に“果敢に”進出を果たしているということ。例えばペットボトルや食品の包装フィルムのほか、タッチパネル用のフィルムといった最先端技術までかなりのシェアを誇っているという事実。

1896年「郡是製絲」という生糸メーカーとして創業したグンゼが、1900年代初めに化学繊維のレーヨンが爆発的に普及すると、生糸は壊滅的な打撃を受ける。ここから生き残りをかけた新規事業の開拓が始まった。その結果、生糸メーカー・グンゼはやがて肌着メーカーとなり、ストッキングの包装フィルムからタッチパネルのフィルム製造へ・・・。

っとやはりこれだけの大企業でも道のりは決して平坦ではなかったという事。

社長の児玉和は「現状への安住は、後退を意味する」と語っておられました。やはりこういう格言は人生のどんな場面においても心に刻んでおかなければいけないですね。

それから読んだこの本もそうのような事を適切に訴えかける良書ですので、ぜひ一読をおススメします。

「少しだけ、無理をして生きる」著者:城山 三郎

 

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■初心が魅力を作る

 

魅力ちは何か定義しにくい言葉であるが、逆に魅力がないというのはわかりやすい。例えば型にはまった人は魅力がない。

 

昔、新米の車掌がいた時代のバスに乗るのが好きだった。なぜなら新米の車掌さんが時には間違えたり、赤くなったりおどおどしながらもひたむきに一生懸命やっている姿が非常に初々しくて心地良かった。しかし、これが5年、10年経つとかないいい加減になってきて間違えても平気な顔になる。という具合になってくる。

 

つまり、魅力を作るのは「初心」というものなのである。仕事ではなく生きていく姿勢に対しての初心、初々しさというのはいくつになっても大事である。これは自分の現状に安住せず自分というものを無にして人から受信し吸収しようとする素直な生き方である。

 

かの真珠王”御木本幸吉”は貪欲に新知識をもとめてやまなかった人である。例えば講演会があれば少し遠くても必ず出かけていって一生懸命聞く。好奇心の塊で、彼は色紙を頼まれると、「智、根、運」、あるいは「智、運、命」と書いている。「智」というものを重く見ていた。終生、受信機能を鋭く働かせ、あらゆる機会を捉えて受信し、吸収し、自分の糧とした。

 

■少しだけ無理をしてみる

 

著者が作家になりたての頃、伊藤整という作家に「あなたはこれから先、プロの作家としてやっていくのだから、いつも自分を少しだけ無理な状態に置くようにしなさい」とアドバイスを受けた。

が、夏目漱石の「文学論」は人工的にインスピレーションを生み出すように絶えず最大限の努力をしないくてはならない、負荷をかけて無理をしなくてはいけないと…しかしそれが大変な無理であったら続かない。だから前述の「少しだけ無理をしてみる」というの、」はあらゆる仕事に通用するテーゼだ。

 

銀行家”中村素平”は「箱からでなくちゃいけない」が口癖だった。これは「あいつは箱の中に入って安住しているか、それとも箱から出ようとしているのか」という人の評価判断だった。安住しないことは初心を忘れないよいうこと、箱から出て常にチャレンジし続けなくてはならない。これは今も常に心がけていることだ。

 

■強く生きる

 

著者は「強く生きる」ということにこだわって生きてきた。戦前、私達が強いと思ったあの強さは、つまりは大義を盲信し、大号令に従っただけの強さで本当は強くなかったことに気付いた。逆にいうと大号令に従わない強さ、号令から離れていく強さそんな強さこそ本物じゃないかと考え始めた。

 

人生という大航海に立ち向かうのに備えて「強く生きる」つは何かを考えておく必要がある。だから強い生き方をした人達から学び、恐れ及ばずそんな魅力的な人たちが存在すると知るだけでも私達の人生は豊かになるのではないだろうか。

 

作家の”野上弥生子”さんは100歳にもなりなおその折々の政治問題、社会問題について飽くなき好奇心を持ち続けて周囲にぶつけていた、老いてもなお強く生きていたといっていいだろう。

 

評論家の”山崎正和”さんは「柔らかい個人主義」という本の中で、生きる目標は国家や社会や会社や家が与えてくれるものでなくて、良くも悪くも、一人一人の個人が生きがいや楽しみを見つけていかざるを得ない時代になってきた。これは別の言葉でいうと「自分を支えてくれるものは自分しかない」ということである。特に内心に秘めた静かな強さが必要になってくるのではないだろうか。

 

■人間を支える3本の柱

 

米国の精神心理学の中にこんな考え方がある。

 

「セルフ Self」 「インティマシー intimacy」 「アチーブメント achievement」という3つの柱が人間には必要だという。

 

セルフというのは「自分だけの世界」ということ。本を読む、音楽を聴く等の個人で完結する世界や個だけの世界の重要性。

 

インティマシーとは、「親近性という意味」。より自分に近しい人間関係によって支えられてるということ。

 

アチーブメントとは、つまり達成ということ。目標をたてるという事でもいい。仕事や趣味でも目標や段階を作って挑んでいく、これもやはり人間の支え、生きがいになる。

 

特に日本人はアチーブメントが強いのだが、他の2つのバランスも強くしなければいけない。1本の柱だけに頼っていると弱く脆い。強い1本が折れてしまうと二度と立ち上がれなくなる。

 

3本の柱をバランスよく充実させておけば万が一、1本の柱が動いた時でもあと2本が支えてくれる。我が身を振り返ってもこれは言うは易し、行うは難し、かもしれないが….。

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