諦める力

来月開催のサッカーW杯の日本代表の選出発表がありましたね。今回の日本代表の選出には過去あったサプライズ選出みたいなのはなかったですが、安定の選出でしたね。海外で活躍するグローバルな選手が目立つ「歴代最強」と称される今回の日本代表の活躍本当に楽しみですね。

しかし、この「選ぶ」という行為、人生においても様々な選択がありますね。細かいものまでふくめると「今日の昼食」「観たい映画」なんかもそうですし、「人事採用」「大きな事業の決断」なんかも同じ選択ですよね。

選ぶというのは、他の選択肢を捨てていくということ。決断をするということは同時に何かを諦めるということでもあります。

2001年エドモントン世界選手権および2005年ヘルシンキ世界選手権において、男子400メートルハードルで銅メダルを勝ち取る。陸上トラック種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者の偉業を達成したアスリート”為末 大”さんはこう語ります。

「今の人生を生きるということは他の生き方を諦めてきたということなのだ。だから、可能性が狭まっていく中で自分が何に絞っていくのか、というのが人生の大きな課題だと思う。自分にとって何が諦めたくないものなのか。」

個人的な解釈をさせてもらうと機会を逃す事を恐れない。やるリスクより、やらないリスクの方が大きいということでしょうか?

Twitter等でも話題になることの多い”為末 大”さんの独自の世界観で描かれたこの本は新たな視点を与えてくれるんじゃないでしょうか? 非常に興味深い一冊でした。

 

諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉著者:為末大

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●人間には変えられない事の方が多い。だからこそ変えられないままでも戦えるフィールドを探す事が重要なのだ。戦略とはトレードオフであると、諦めとセットで考えるべきだ。

 

●良く人はこう言うが「今まで一生懸命やってきたし続けていれば希望はある。」

こう考える人は、もしかしたら自分を客観視で来ていないかも知れない。一生懸命やったら見返りがある、という考え方は犠牲の対価が成功、という勘違いを生む。すべての成功者が苦労して犠牲を払っている訳ではなくて運が良かったり要領が良かったりして成功した人の方が実際は多いのではないだろうか?

 

●全力で試してみた経験が少ない人は「自分が出来る範囲」について体感値がない。ありえない目標を掲げて自信を失ったり、低すぎる目標ばかりを立てて成長出来なかったりしがちである。

 

”転ぶ事や失敗を恐れて挑む事を避けて来た人は、この自分の範囲に対してのセンスを欠きがちで、僕はそれこそが一番のリスクだと思っている”

 

●自分にとっての大事な「勘どころ」をズルズルと引き延ばす事はリスクでしかない。では一体何が「勘どころ」なのか? それは常に自問自答していくことだけだ!

 

●測るとは勝利条件の設定に他ならない。どうすれば勝ちなのかが決まって初めて戦略が生まれる。幸福の基準を自分のうちに持たない人は幸福感も低くなりがちだ。

 

●実際、競技人生を振り返って自分の自信の核になっているのは勝ったことではなく、負けを受け入れてそこから立ち直った事、勝負に負けたくらいで傷つかなくなったことである。人生は長く勝負は無数にある。負けない工夫より、負けにふてぶてしくなるほうが最後は強い。

 

●僕の母はいつも「陸上なんていつ辞めたっていいのよ」と。おかしな話だがその言葉があったからこそ「陸上はやめたくない」という気持ちが強く働いたのだと思う。陸上をやめないために、100メートルをやめるのだというふうに考える事が出来たのだ。

 

●多くの指導者はスタープレイヤーが取り組む驚異的な練習をみて教え子達に「見ろ、あれぐらいの練習をしているからあそこまでのプレイヤ-になれたんだ」と揶揄すが、スタープレイヤーは努力を努力と思わず努力そのものが楽しいという星の下に生まれてきていることがほとんどだ。

才能があると思えているところからスタートしている努力と、自分にはまったく才能がないとしか思えないところからスタートしている努力は苦しさがまったく違うのではないかだろうか。

 

●日本人は金メダルやノーベル賞といった既存のランキングを非常に好む。人から選ばれようとする事は、誰かが設定したランキングからずっと抜けだせないことを意味する。自分なりのランキングを持つということは他社評価自体を客観的に見る事に他ならない。

 

●スポーツの世界では「やればできる」「夢はかなう」という姿勢を周囲から期待されている。しかし、一流のアスリートになればなるほど自分の位置が厳格んみわかるので「がんばっても無理なことがある」と。夢の否定や努力の無駄ではなく何かを諦めた経験があってこその考えである。

 

●ソーシャルメディアはリアルな世界に比べて人間関係がすごく気楽だ。だから、何人もの自分を使い分ける事が出来る。誰とでも繋がれる自由や発信の自由がある一方で、つながらない自由や発信しない自由もある。でないと、リアルな世界とバーチャルな世界という二つの世界を生きていかなくてはならない今の時代、人は疲れきってしまう。

 

今いるところが最高で、そこから下がればマイナスと考えると、現状にしがみつくことになる。それは結果的に行動や思考を萎縮させることにつながる。今を守ろうとして今も守れないという状況だ。成功という執着や今という執着から離れることで、人生が軽やかになる、これが僕の言いたいことである。

 
「前向きに、諦める」

 

そんな心の持ちようもあるのだということが、この本を通して伝わります。

 

「諦めない」ことが、足かせになりうる、ということ。本当に自分のやりたいことを見つけた時は、それ以外の全てをきれいに諦めてしまうことも必要なのだろうと。

なんだかんだ「本当にやりたいことじゃない」と理由をつけて、諦めるのを諦めてしまうこともあるかもしれない。

「諦める」ということは、やっぱりなかなかそう簡単にできることではないけれども、それができなければ何も前に動き出さないということですね。

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